一、半導体プロセス工程別シール部品要件

ドライエッチング(RIE/ICP):プラズマ(CF₄、Cl₂、HBr など)によるエッチングプロセスでは、チャンバーシールに高耐プラズマ性が要求されます。標準シリコーン(VMQ)はプラズマにより侵食されやすく、パーティクル(微粒子)の発生が歩留まり汚染を引き起こします。このプロセスでは FFKM(パーフルオロエラストマー)または高純度フルオロシリコーン(FVMQ)が推奨されます。

CVD(化学気相成長)・ALD:高温成膜プロセスでは 150°C〜300°C の温度環境下でのシール性が求められます。シール材の熱安定性と低アウトガス性が重要で、成膜ガス(SiH₄、NH₃、TiCl₄ など)との反応性が低い材料が必要です。

CMP(化学機械研磨):スラリー(研磨液)との接触があるため、耐化学薬品性(特に酸性・アルカリ性スラリー)と耐摩耗性が求められます。

ウェット洗浄(SC-1/SC-2/DHF):APM(アンモニア過酸化水素混合液)、SPM(硫酸過酸化水素混合液)、DHF(希フッ酸)などの強腐食性薬液への耐性が必要です。EPDM は耐酸化性洗浄液に優れますが、DHF 環境では FKM または FFKM が必要となります。

二、低アウトガスとクリーン度の重要性

半導体製造における「アウトガス(Outgassing)」とは、シール材料が真空・高温下で揮発性物質(低分子量シロキサン D4/D5/D6、可塑剤、硫化物など)を放出する現象です。これらの揮発成分がウェハ表面に付着すると、トランジスタ特性の劣化・配線腐食・歩留まり低下を引き起こします。

低アウトガスシリコーンを実現するための製造管理ポイント:

  • 二次加硫(Post-Curing):200°C × 4〜8時間の二次加硫により、残留する低分子量シロキサンと未反応成分を除去します。これはアウトガス低減に最も効果的な工程です。
  • 高純度原料の使用:半導体グレードシリコーンは医療グレードよりもさらに厳格な原料純度が要求されます。充填剤・架橋剤・触媒の純度と種類を慎重に管理する必要があります。
  • クリーンルーム成形・包装:ISO Class 7(Class 10,000)以上のクリーンルームでの成形・検査・包装が理想的です。

三、材料選定ガイド:標準シリコーン vs 高純度VMQ vs FFKM

材料 耐プラズマ性 耐腐食薬液 推奨用途
標準シリコーン(VMQ) 非腐食プロセス・ロボット搬送系
高純度シリコーン(低アウトガス) CVD炉シール・搬送チャンバー
FVMQ(フルオロシリコーン) 中〜高 燃料系・溶剤系・低温チャンバー
FFKM(パーフルオロ) 最高 最高 エッチングチャンバー・DHF洗浄系

四、FPD(フラットパネルディスプレイ)応用

TFT-LCD・OLED パネル製造ラインにおけるシリコーン部品の代表的な用途:

  • 真空チャックパッド:ガラス基板を吸着・固定するための低硬度(Shore A 20°〜40°)シリコーンパッド。表面平滑度と低アウトガス性が要求されます。
  • ガラス搬送ロボット用パッド:搬送ロボットのエンドエフェクタに取り付けるシリコーンパッド。ガラス表面を傷つけない軟質材料と、静電気発生を抑える導電性配合が求められます。
  • ドライルームシール:超低湿度環境(露点 -60°C 以下)での気密シール。水分透過性の低い材料が必要です。

五、鈞翔実業の半導体・FPD関連対応能力

鈞翔実業有限公司は、半導体・FPD 製造装置向けシリコーンシール部品の受託製造に対応しています。二次加硫(Post-Curing)処理による低アウトガス対応、クリーンルームでの検査・梱包、CMM 三次元測定による精密寸法管理を提供します。半導体装置・FPD 設備向けのシリコーンシール部品開発をご検討の際は、プロセス環境の詳細(使用ガス・温度・真空度・薬液種類)とともにご相談ください。