一、Shore A硬度とは?—測定方法と物理的意味

ショア硬度(Shore Hardness)はゴム・プラスチック材料の硬さを測定する国際標準指標で、ASTM D2240 規格に準拠します。Shore A スケールは一般的なエラストマー(軟質〜中硬質)の測定に用いられ、0°(完全に力が吸収される)から 100°(貫入不可)のスケールで表示されます。測定はデュロメーター(硬度計)と呼ばれる標準化された器具で実施し、一定の圧力で試験片に針を押し込んだときの貫入深さから硬度値を読み取ります。

重要な点として、Shore A 硬度はあくまで材料の表面押し込み抵抗の指標であり、引張強度や引き裂き強度とは直接対応しません。設計段階でこの点を誤解すると、部品の実際のパフォーマンスと設計意図がずれる可能性があります。

二、硬度区分対照表と代表用途

硬度区分 Shore A 範囲 代表用途
超軟質 10° 〜 20° 哺乳瓶ニップル、皮膚貼付医療パッド、超軟質スキンケア用モールド
軟質 30° 〜 45° 食品用シリコーン型、ベビー用おしゃぶり、耳栓、軽荷重防振脚
中軟質 50° 〜 60° 医療機器シール、ゴムキーパッド、一般工業用ガスケット、パソコン防振パッド
中硬質 65° 〜 75° 自動車エンジンシール、精密機器用防振マウント、高圧ホースシール
硬質 80° 以上 重荷重工業用ガスケット、耐摩耗ローラー、高圧システムのバルブシート

三、硬度選定に影響するキーファクター

  • シール圧力:シール用途では、低いシール圧力環境(例:食品容器のフタパッキン)には Shore A 40°〜50° の軟質材が適切です。高圧流体系(液圧シリンダーなど)では Shore A 60°〜70° 以上が必要となり、過度に軟らかい材料は高圧下で変形してシール性を失います。
  • 動的用途 vs 静的用途:動的シール(繰り返し圧縮・摺動が発生する部位)は圧縮永久歪み(Compression Set)が小さい配合を選ぶことが重要です。同一硬度でも配合によってこの特性は大きく異なります。静的シールは比較的許容範囲が広くなります。
  • 相手部品とのクリアランス:相手部品の表面粗さや嵌合クリアランスも硬度選定に影響します。表面が粗い相手材や大きなクリアランスには、より軟質な材料を使用してシール面への追従性を確保します。
  • 使用温度:シリコーンゴムは -60°C〜+200°C の広い温度域で使用可能ですが、極低温下では一般に硬度が増加し、高温下では軟化する傾向があります。設計時には実際の使用温度での動作を想定した硬度設定が必要です。
  • 触感・圧縮荷重:消費者向け製品(スマートフォンケース、ウェアラブルバンドなど)では、触感や押し込み感が製品品質の重要な要素となります。Shore A 30°〜50° の範囲が快適な握り感を与えることが多いですが、最終的にはサンプル評価を推奨します。

四、鈞翔実業が対応可能な硬度範囲とカスタマイズ

鈞翔実業有限公司では、Shore A 10°〜90° の広い硬度範囲に対応しており、自社内の配合技術により特定の硬度値への微調整が可能です。また、同一製品で異なる硬度の部位を一体成形する「デュアルハードネス成形」にも対応しており、例えばキーパッド製品でキートップを Shore A 45°、ベースを Shore A 65° に設定するなど、複雑な要件にも柔軟に対応します。

さらに、試作サンプル製作時には硬度違いの複数バリアントを同時に提供することができ、設計者が実物を触って比較したうえで最適硬度を確定することが可能です。これにより、「金型製作後に硬度ミスが発覚」という最も避けたいリスクを事前に排除できます。

シリコーンゴム製品の硬度選定や配合に関するご質問は、設計図面(STEP/IGS/PDF形式)をお送りいただき、弊社技術スタッフへお気軽にご相談ください。初期技術相談は無料で対応いたします。